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束の間の帰省

土曜日に実家に帰る。昨年来、少々心を病んでしまった母を見舞いに定期的に帰っているので、改まって帰省という感じでもない。この日は麻婆豆腐を作って両親にふるまう。

仕事にも若干関係のあることも調べたくて、前々から行ってみようと思っていた杉並区の郷土資料館に行く。思ったより立派で、展示物もそれなりに見応えがある。
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復元した古民家にはボランティアの人がいて、囲炉裏に火をおこし、先に来ていた見学者に説明している。
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一部400円で売っていた写真集。僕が入学する20年前くらいの母校の姿。今の善福寺川と学校周辺を知る者には信じられない光景だ。でも何か心和む愛らしい風景だ。
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夕方、実家をあとにして、高円寺の「素人の乱」というリサイクルショップによる。店主の松本哉さんが店番をしていたので、店内に陳列されていた彼の著書「世界マヌケ反乱の手引書: ふざけた場所の作り方 」の感想でも話してみようかと思ったが、機嫌が悪そうだったのでやめた。
束の間の帰省_d0237041_21405110.jpg古本も数冊、陳列されていたので、彼の父上の著書を購入しようと、松本さんに渡すと「これは古本じゃないんですよね。値段は定価なんですけど・・・」と言われてしまう。帯の文字が剥げている箇所や、本のてっぺんの汚れをしげしげと見まわす僕に「まあ、たしかに古いことは古いですけどね」と松本氏。結局、買うことにした。2千5百円也。面白ければいいが・・・。

近所に落ちたのでは思うくらいの雷の音。店を出ると土砂降り。高円寺駅で電車に乗り込んだが、なかなか発車しない。列車の「不具合」が発生したとのこと。しばらくすると女性車掌が、「正常に運転できるか試すのでちょっと動かす」といった意味のことをアナウンスしている。その「率直」な表現に感心させられたが、結局「この電車は回送になることが"決定"しました」とのアナウンスがあり、次の電車を待つことになった。何でもない一日だが、脈絡もなくいろいろなことが起きるものだ。
# by CitizenCotta | 2017-08-28 21:41 | Trackback | Comments(0)

suchmosライブ@日比谷野音

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地下鉄の霞が関駅を降りて、地上に出ると大音響が鳴り響いている。「あれ?、今日は国会周辺でデモでもやってんのか?」と一瞬思ったが、それがこの日(7月2日)行われるSuchmosのライブのリハーサルの音響だとわかり、いきなり気持ちが沸き立ってくる(デモであったとしても「沸き立つ」かもしれないが)。

Suchmosが自分たちで立ち上げた、新レーベル『F.C.L.S.』の発足記念として開催されたこの日ライブ。前回、1月に初めて彼らのライブを観に行ったときは、ceroとのツーマンライブだったが、今回はワンマンで、しかも新曲が発表されガばかり。日比谷野音でライブを観るのも初めてということもあって、気持ちの盛り上がり方は半端ではなかった。

会場に着き、妻の希望で開場前の先行グッズ販売の列に並び始めたのが3時半くらい。長蛇の列で、結局、先行グッズ販売は並んでいる間に終了してしまい、その列がそのまま開場待ちの列になり、入場できたのは5時30分。入場後、僕は席に座って開演を待ったが、グッズ購入に飽くなき執念を燃やす妻は入場後再び長い列に並び始め、ゲットして席に着いたときは開演時間の6時の5分前くらいだった(開演前なのにすでに「燃え尽きた」ような表情になっている・・・)。

そしていよいよ開演。恒例の入場テーマのような曲に乗ってメンバーが次々と登場。少し遅れてボーカルのYONCEが颯爽と現れ、胸に手をあてて深々とおじぎ。観客への感謝の表現だと思うけど、どこかユーモラスな仕草にも感じられた。各楽器から発せられるゆったりとした静かな音の中、観客に背を向け、精神統一するかのような姿勢で静止し、会場が静まり返ったタイミングで、DJのKCEEのターンテーブルから切り込むようにヴォイス音が放たれ、1曲目の「YMM」が始まった。会場全体が一気にグルーヴ感に包み込まれ、YONCEの歌い出し前の絶叫でさらにボルテージが上がっていく。途中、ギターのTAIKINGが見せ場(サビにつなげるところの何連符かの速弾き)でとちってしまい、ちょっと冷や冷やさせられる一幕もあったが、そのちょっと後にジミ・ヘンドリックスの「紫の煙」の出だしのフレーズを持ってきたりなんかして、ロック好きを興奮させる展開も見られた。

Suchmosはファンの年齢層が広いと言われているが、たしかに会場を見まわしていると、同世代の若い人はもちろん、(僕を含め)二回りくらい上の世代の姿も結構見られる。僕なんかは、このジミヘンのギターのフレーズや、FACEという曲の中ではボブ・マーリー「Get up, stand up」の冒頭の部分がまるまる引用されたりするところに反応してしまうが(ついでに言うと、ベースのHSUがストーンズのベロマークTシャツを着ていたり、KCEEがピンクフロイドの「Dark Side of the Moon」のジャケットのTシャツを着ていたり)、他にも僕が気づかないだけでわかる人にはわかる遊び心が潜んでいるのかも知れない。

アンコールを含め全20曲、しっかり堪能することは出来たが、やはり今年1月に見た最初のライブほどの興奮には至らない。購入した2枚のCDはもちろん、Youtubeの動画やスカパーの番組なども繰り返し視聴している(それに前回は表情がわかるくらいの距離だったというのもあるかもしれない)。自分たちの作品がテレビやネットのコンテンツとして消費されつくしてしまう今のアーティストは本当に大変だと思う。改めて思ったのは、そんな状況のなか2時間なり3時間なりの間、観客を惹きつけることがどれだけのエネルギーが必要かがひしひしと伝わってくる。中でも、YONCEはエネルギッシュな歌や動き、高揚させ時に胸を熱くさせるMC、どれをとっても素晴らしい(後で生中継されていた映像をビデオで見た時、白地のTシャツに薄く「MOTHER FUCKER」とプリントされていたのがちょっと気になったが)。これからもますます注目だ。
# by CitizenCotta | 2017-07-15 07:08 | 音楽 | Trackback(83) | Comments(0)

THE FUTURE SESSIONS@法政大学

THE FUTURE SESSIONS@法政大学_d0237041_1182977.png在学中とはすっかり様変わりしてしまった母校の内部に入ってみたいということもあって出掛けてみた。

飯田橋駅を降り、外堀沿いの遊歩道を歩いて会場である法政大学に向かう。遊歩道は昔と全く変わらないが、車道を挟んだ反対側には巨大なビルが立ち並んでいて、威圧されるような圧迫感がある。大学の手前にある逓信病院のところかに左折して靖国神社の方に向かう緩やかな坂道があるのだが、何故か車道が封鎖されていて、お巡りさんが怖い顔をして立っている。

大学に着いたら校門のところにはしっかり警備員が見張っていて(実際には「正門」がどこなのかよくわからなかったが)、そこから少し離れた別の入り口付近にも、制服は来ていないが怖い顔をして周りに目を光らしている人がいた。なんだかちょっと「感じが悪い」。昔は正門と校舎のあいだにちょっとした広場のような空間があったのだが、そのエリアにもごっつい建築物が聳え立っている。母校だからという「懐かしさ」や「愛着」はまったく感じなかった。

イベントは映画「六ヶ所村ラプソディー」などの作品を手掛けたドキュメンタリー映画監督の鎌仲ひとみさん、ロックバンドASIAN KUNG-FU GENERATIONのボーカル、ゴッチこと後藤正文さん、在校時に演劇「今、伝えたいこと(仮)」を作った福島県立相馬高校の卒業生の女の子の3人でのトークショーを中心に、それを受けての質疑応答と後藤さんの弾き語りによる生演奏もあった。

「震災と向き合う」、「被災者の心情に寄り添う」ということはどういうことなのか、そして未来に向けてどう行動すべきなのか、それぞれの立場から語られていたが、予定調和を排してよりリアルに自分の言葉で語ろうとする姿勢が感じられた。後藤さんの「今は小さな成功を積み重ねていくことが大事」という言葉が特に印象に残っている。

会場には若い人が多く、真剣に聴いている様子で、質問の手をあげる人もたくさんいて頼もしい限りなのだが、普段、こういうテーマで周りと話し合うということはあまりないようだ。パネラーの一人の相馬高校の卒業生の女の子でさえ、大学ではあまりこうしたことは話さないという。質疑応答で手を挙げて指名された20歳くらいの女の子は、福島出身なのだがバイト先とかでは、認識があまりにかい離していて話すと腹が立ってしまうので、一切震災の問題については話したくなくなったとの体験談を披露していた。いろんな意味で話すことが「面倒くさい」と思ってしまうことについては、わが身を振り返れば思い当たることだが、この女の子はそんな自分を変えたいと思うからこそ、こんな大勢の前で質問せずにはいられなかったわけで、「〇〇では政治の話はしない」というのが賢い処世術であるかのように言う「大人」よりよっぽど立派だ。
# by CitizenCotta | 2017-07-09 11:17 | 社会 | Trackback | Comments(2)

D.A.N.

The fin. の次は D.A.N. だ。バンド名を短く無機質にアイコン化していることでは共通しているけど、歌詞が全編英語のThe fin. に対してD.A.N.は日本語で、それも高度に詩的というか、何か難しい哲学の領域にまで踏み込んでいっているようにも感じられる。

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演奏時間が長い曲が多いのも特徴のひとつだ。下の動画は彼らのレパートリーの中では比較的キャッチーなメロディーを持つ楽曲だが、演奏時間は8分以上で、しかも曲の始まりから歌いだしまで約1分半かかっている。テレビの歌番組に呼んでもらうことなんてほとんど眼中にないのかもしれない。



この曲(SSWB)は新作CD「TEMPEST」の1曲目だが、とりあえずつかみはキャッチーな曲にして、本当に聴かせたいのは、ShadowsとTempestなのかもしれない。何か音楽の求道者という趣がある。
# by CitizenCotta | 2017-07-01 23:37 | 音楽 | Trackback | Comments(0)

凶行採決

前の記事で紹介したThe Fin.の「Night Time」を、字幕付きの動画でも見ていたら、最後にこのミュージックビデオ(MV)の作者名がクレジットされていた。僕がこの動画を何度も見てしまうのは、曲がいいというだけじゃなくて、MVの雰囲気に惹かれるところが大いにあったので、その人の名前でGoogle検索をかけてみた。ツイッターをやっているようなので、そこをクリックしてみると、いきなり目に飛び込んできたのが「凶行採決。」という字句!

タイミングから言って、明らかに共謀罪が衆議院議員で可決されたことを受けてのツイートだ。ツイートを遡ってみると、反戦平和、護憲、脱原発といった左派リベラル的な価値観を持っているようで、とりわけ共謀罪の行方には強い危機感を抱いていることが伝わってくる。。

映像ディレクターの関根光才さんは、他にもAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」のミュージック・ビデオや、トヨタやホンダ、ナイキなどのテレビコマーシャルを手掛けるなど、この道の第一線で活躍しているそうだ。政治的な発言も厭わない態度もさることながら、ものづくりに対するストイックな考え方にも瞠目させられた。「大手企業のCM作ってる人」ということで、ある種の先入感を持ってしまうのだが、当然いろんな考えの人がいるわけだ。当たり前のことに気づいただけではあるが、ちょっと心強い気落ちになった。
# by CitizenCotta | 2017-06-04 21:25 | 社会 | Trackback | Comments(0)